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 村の伝説



 その村には伝説があった。
 はるか昔から言い伝えられている伝説。伝説のアイテムが明日、公開されると聞いたのだ!
 これは……行って確かめるしかなかった。
「てわけで、母さん、俺行ってくるわー!」
「何が『てわけで』なんだか。あー、いいよ、行っておいで」
 なんだかんだ言いながらもOKしてくれるのがさすが母さん。
 父さんにいたっては何も言わず、俺の方さえ向くことなくただ手を振っている。
 この国がどこからどうみても平和なのがまあ、その理由なのかもしれない。
 まあ、そんなことはどうでもいい。
 許可がおりたんだから、即実行だ。
 既に準備は整っている。
 荷物はお金と多少の保存食、それから一日分の着替えに雨具だ。
 旅をするにはできるだけ荷物は少ないほうがいいからな。
 そうそう、旅と言えば忘れてはならない。もう既に着込んでいる、長くて全身を覆うような黒いマント。旅には欠かせないアイテムだけど、なかなか売っているところはなく、実は俺のお手製だ。
 さあ、忘れ物はないようだし……、出発だ!
「父さん! 母さん! 行ってきます!!」
 元気に声をかけて、俺は家を出た。


 その村へは家から列車を乗り継いで行った後、さらに馬車に乗り、それから歩く必要があった。
 列車と馬車で俺は注目の的だった。
 さらさらの首の後ろで束ねている長い金髪。そして整った顔立ちに真紅の瞳。
 見惚れてしまうのも無理はないだろう。
 俺のマントを見て笑ってくる人もいた。
 お手製マントは大人気なようだった。
 馬車を降りた頃には、夕方になっていた。朝家を出たのだが仕方がない。
 山道を進み、適当な場所で休むことにする。
 旅は、やはり日没と共に休み日の出と共に活動するのがベストだ! と……本で読んだし。
 冬が近づいていることもあり外気は冷たかったが、お手製マントを毛布にすると暖かかった。
 もってきた保存食を食べて、日が沈むと同時に俺は眠った。


 日の出とともに目覚めた俺は、再び歩みを続けた。
 わずかな距離を進むと山小屋のようなものを見つけた。
 どうやら野宿しなくてもよかったようだが、まあ、旅に野宿はつきものだ。
 さらに一時間ほど歩くと、目的の村に辿り着いた。
 のどかな村だ。
 この村に本当に伝説が……伝説のアイテムがあるのか疑問を持ちたくなるような……それくらいのどかな村だった。
「おや……変わった服装で一人旅かい?」
 村の老人が話しかけてきてくれた。
 変わった服装……というのはまあ、ご老人にはこのセンスがわからないのだろう。
「はい。この村で今日行われる伝説の公開を見に来ました」
 ここは第一印象が大切だ。
 できるだけさわやかに話しかけた。
「おお、そうかい。もうじきはじまるからね、君ももらっていくといいさ」
 よし! どうやら印象はよかったようだ。
 「もらっていくといい」とは思ったより素晴らしい反応だ。
 伝説のアイテム……。
 悪を倒すためのアイテムか、平和を守るためのアイテムか。
 俺の書物から得た知識によると、伝説のアイテムと言えばこれらに決まっている。
 今まではデマが多く、なかなか真実に辿り着けなかったが、こんどこそは……!
「おや、どうやら始まったようだ。こっちへ着なさいな」
 老人は俺を村の広場に導いてくれた。
「今年も良いできじゃよ」
 広場の中央でそんな声が聞こえた。
 広場は村には似つかわしくなく、都会の人たちが大勢集まっていた。
 なんてちょっと余所見をしていると、案内してくれた老人がいなくなっていた。
 どこにいった?
 キョロキョロしていると、老人がこちらに来るのが目に入った。
「ほれ、君の分ももらってきたよ」
 渡されたのは小さな壺。
 この壺自体が伝説なのか……?!
「今年は一段といい味だぞ」
 ……いい味?
 意味がわからなく。俺はその壺の封を開けてみることにした。
 …………。
 なんともさわやかな香り。
 これは……これは……っ!!
「ただの梅干じゃねーか!!」
 思わず声を上げてしまった。
 こんなんでどうやって悪を倒すんだ?!
「この村に代々伝わるレシピで作られとる、伝説の梅干だ。
 これを食うと病人ですら飯がたーんと食えると好評でなぁ」
 …………。
 くう、これであきらめるもんか!
 俺はいつか伝説のアイテムを見つけ出し、悪を見つけ出し、そいつを倒して勇者になってやるんだ!
 デマ伝説にはもう数十回当たっているんだ。次こそ真実を見つけてやる!!
「ほれ、飯も配ってるからもらってくると良いぞ」
「……負けるもんかー!!!」
 俺は叫びながら……投げやりに梅干を口に放りこんだ。
 ………………!!!!


 そして……。
 村には伝説が一つ増えた。
 梅干一つでどんぶり20杯のご飯をたいらげた少年がいる、という伝説が……。




○○○○○○○○○○

しき:ノリです! ノリだけで書きました! 以上!
ソラ:あうー、まだ終わっちゃだめだよー。
しき:うぅ……。この小説は……見てのとおりおふざけ系小説です。久々に一日で短編記入でした。
ソラ:梅干……てすっぱぁーいやつだよね?
しき:はいなぁ。
ソラ:あんまり言うことないみたいだね?
しき:あはは〜、ではお開き〜。


 
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