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 みい物語



 暖かな日差しが、俺の身体に降り注いでいる。
 五月の始め。確かじいさんばあさんはゴールデン何とかっていう休みだと言っていたが俺にはよくわからない。
「みい? みーい? どこにいるの?」
 昼も過ぎ、俺の飼い主であるじいさんばあさんが出かけた後のことだった。
 家の玄関のところでうつらうつらといい気持ちでいると、そんな女性の声が聞こえてきたのだ。
「みゃあ?」
 思わず答えてしまって。
「なぁーにぃ? おかーさん」
 …………。
 俺じゃ、なかったみたいだ。
 うむ。日ごろの癖というのはこういうとき困る。間違えたときなんだか照れるじゃないか、くそっ。
「美依、そんなところにいたのね。早くこっちへいらっしゃい」
 どうやら「みい」とは人間の名前だったらしい。ややこしいやつめ。
「あっ! おかーさん見て見て〜。猫さんがいるよぉ♪」
 歳は……十歳いってないであろう少女。
 ……この年代の人間は嫌いだ。
 追い掛け回されたり、石を投げられたり。いい思いをしたことがない。
 少女は俺が嫌がるのに気づかず、頭をなでてくる。
「あらほんとねぇ。かわいいトラ猫だわ」
 先ほど「みい」と呼んでいた声と同じものも近づいてくる。
「ここのお家の猫さんでしょう。
 さ、早く片付けちゃいましょうね」
 少女の母親は、そう言って隣の……真新しい家へ入っていった。
 そしてそれを追うように、少女もパタパタと後を着いていった。
 これで……静かになるな。
 俺は大きくあくびをして……。
「あ、そうだ! 猫さん、これあげる〜」
 と言って少女は何かを投げてくる。
 反射的に……今までの教訓で飛び去る俺。
 ……。
 少女はもういない。
 俺は投げられた物に、恐る恐る近づいていく。
 これは……。
 ビスケットだ!
 なぜだ? なぜあの少女は俺の好物その四を知っている?
 見直したぞ、あの年代の人間にも、いいやつはいるんだな。
 いや、そんなことはどうでもいい。さあ、食おう!
 …………。
 袋に入っている。
 アレだ。ばあさんが言ってたな。個袋パックはしけりにくくていい、とかなんとか。
 …………やつめ、俺が開けられないのをわかっててよこしやがったに違いない。
 だからあれくらいのガキは嫌いなんだ。
 俺は後ろ足でそれを蹴り、そっぽを向いたまま眠りモードに入る。
 ……そういえば、朝からトラックがとまって荷降ろしなんだかやかましかったっけな。あれは隣の新築に引越してきた音だったってわけか。
 いい……陽気だ。
 ……。
 …………。
 ………………。
「みい、帰ったよ」
 ふいに、耳元で声がした。
「ふにゃ……」
 じいさんとばあさんだった。
 そんなに時間がたっていたか。
「今日隣に越してきた子が、お前の名前と同じ『みい』だってねぇ。
 昼間お前と会ったって言ってたよ。気に入ったってさ。
 よかったなぁ、気に入られて」
 ばあさんは笑顔で、俺の頭をなでた。
 俺はばあさんに、この優しい笑顔でなでてもらうのが好きだ。
 …………そういえば、あの少女もばあさんに似た優しい笑顔で俺をなでてきた気がする。
 …………。
 ガラガラ、と音がした。
 じいさんとばあさんが家に入ったらしい。
 俺のために、数十センチ戸を開けたままになっている。
 後を追って家に入ろうとした俺は、なんとなく足を止め……。
 そして……落ちていた袋に入ったビスケットをくわえてから、改めて家へ入っていった。




○○○○○○○○○○

しき:このお話はELさんからのキリリクです。
ソラ:猫さんかわいいよね〜。
しき:ほんとに可愛いです〜♪
ソラ:リクエストでは〜、「ほのぼのした話」ってことだったんだね。
しき:ほのぼの……と悩んで、猫の話に。
ソラ:お昼寝いいな〜♪
しき:猫とお昼寝。この二つがあればほのぼのになるかな〜と書いてみました!
ソラ:zzz(←寝てる)
しき:オイオイ。


 
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