こんなにも荒れ果てて 歩きにくい まるでけもの道 みんなは軽々と歩いていくけれど 私にはムリ 歩けない もう歩きたくないって 足を止めても 置いていかれるだけ 座り込んだら 涙がこぼれた 共に歩いていた仲間を そっと見てみた みんな傷だらけ 涙越しに見て 初めて気づいた
 
 

悪者

あなたがその暗闇から抜け出せないのなら そして私に助けの手を望むのならば 私はあなたの手を叩こう 私があなたに手を差し伸べても 再び暗闇に落とす事しかできないのなら 私はあなたに背を向けよう あなたの倒すべき敵はそこにはいない 暗闇から抜け出してごらんなさい 私は ここにいる
 
 

背中を押す手

いつもこの背中を押してくれる手 この手は誰の手なのだろう ずっとそばにいてくれる 母の手 寡黙に見守ってくれる 父の手 ばっかだなぁ なんて笑い飛ばしてくれる 兄弟の手 何も知らずに寄り添ってくれる ペットの手 確かにみんな 私の背を押してくれた けれど、最後にぐっと押してくれたのは家族の手ではなかった 相談に乗ってくれる 先生の手 励ましてくれる 恋人の手 叱咤激励してくれる 親友の手 みんなみんな 私の背を押してくれた 押す方向は少しずつ違ったかもしれないけれど みんなみんな 押してくれた けれど 最後にぐっと押してくれたのはみんなではなかった この手は 最後に私の背を押しているこの手は 私自身の手だった
 
 

ミントキャンディ

いつものように封を切り いつものように口の中へと放り込んだ飴玉 さわやかというよりピリッとした味わい このピリッとした味わい 私は嫌い だけどたまにはいい いつもと同じ甘い飴玉の中にこの飴が入っていると ちょっとしたアクセントになる 甘い飴が 楽しみになる いつも甘いばかりじゃあ 口の中がマヒしてくるから だけど 辛すぎる飴は嫌い ほんの少し辛くって ほんのり甘いミントのような味わいが 程よい刺激を私にくれるのかもしれない
 
 

波紋

水面に広がる波紋のように 小さな石も大きく大きく広がっていく 張り詰めた空気の中で言う言葉は 遠く遠くまで広がっていく その一言が遠く遠く広がっていく けれど 広がっていくにつれ 言葉は変化を遂げていく 自分の言葉の意味は半分程度にしか伝わらないかもしれない もしかしたらまったく違う意味に伝わっているかもしれない その真偽もわからなくなったころ ふっとその輪は消えていく 風のない静かな湖に小石を投げる 波紋がゆっくりと広がっていく
 
 

あみだくじ

 目的地はすぐそこにある  それでも道は  右に曲がり 左に曲がり  真っ直ぐ進めばよかったのに  道を決めたくなかったから  あみだくじの道を歩んだ  目的地は遠くにあった  それでも道は  右に曲がり 左に曲がり  どんどん遠ざかっていくのに  信じたくなかったから  決められた道を歩んだ  目的地はまだ遠かった  それでも道を  左に曲がる 右に曲がる  そのままでは辿りつけないと  いまさらに気づいたから  あみだくじの道を作った  遠回りした分だけ目的地も遠くなったけど  真っ直ぐ進んでいれば知らなかった道を  いまこうして歩いている
 
 

空に咲く花

 夜空に咲いては散る花  人々を魅了して  そして静かに消えていく  その一瞬  たった一瞬の為にうまれたいのち  青空に咲いては散る花  周りがあまりにまぶしくて  気づかれずに消えていく  音の余韻だけを残しながら  目を瞑り自分だけに見せる空の花  見る人により様々なかたちを見せて  そして静かに消えていく  気づいた人にだけ見える花  誰しもが咲かせる空の花
 
 

 嬉しいとき  哀しいとき  あふれる涙は心のかたち  心が嬉しいから涙が出て  心が哀しいから涙がでる  嬉しいとき  哀しいとき  枯れた涙も心のかたち  心は静かに泣いているから  心は静かに涙している